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Column

理事長代行をお願いするってどんなこと?


人の一生と同じく、建築物の一生というものもあります。
一般に「コンクリートの建物は100年もつ」などと言われますが、
果たしてマンションの場合、その一生を全うするにはどの様なことが大切なのでしょう。

戸建住宅やビルなどの一般的な建築物と違い「マンション」という言葉は単なる居住建物を指すだけではありません。
私は、区分所有建物という言葉が意味するように、その中に所有し住まう人達とそのコミュニティをも含んだ言葉であると考えます。
そして、そのマンションはどの様であれば健康で長生きできると言えるのでしょうか。
人の集まりである以上、建物の営繕のみしていれば済むものでないことは明らかです。

建物が古くなればなる程、小まめに点検・補修・更新をしなくてはならなくなるのと同じく、
コミュニティについても年月を経るに従い、更にはその人数が大きければ大きい程に同様のことが求められます。
にも拘らず、例えば昭和の頃より数十年存続しているマンションで、コミュニティの疲弊が起きていることは珍しくありません。
直接の原因を「少子高齢化その他、、、」と言ってしまうのは簡単ですが、ことさら原因を探すことに意味はないでしょう。
今まさに困り、またこの先間違いなく困ってしまうであろう状況を意識されている管理組合の方々が多いことは明らかなのです。

自分達のマンションを守るのはご自身各々が当事者です。
管理会社もパートナーではあっても決して当事者にはなってはくれず、一定の距離が残ってしまう様に感じるかもしれません。
その為、対費用効果に満足できず自主管理を選ぶ管理組合も少なくないでしょう。

しかし、自主管理運営には人・建物・お金等多方面に渡って、想像以上の注意力と労力が必要になります。
そこでの解決案として注目されるものに、国交省ガイドラインに示される外部専門家活用の一つである「理事長代行」があります。
一般的には区分所有者自身が就く「理事長」を代行するものであり、組合当事者としての任を前提にしたサービスです。
管理組合の一員として「距離感ゼロ」を目指し業務に当たるものなのです。

コラム提供:伊藤 修臣(いとう おさとみ)

一級建築士,マンション管理士

名古屋市立大学 芸術工学研究科博士前期課程修了

建築設計事務所に10年間勤務ののち個人事務所設立。
住宅・店舗等のデザイン・設計、マンション大規模修繕工事設計監理と共に
管理組合サポートの為マンション管理士活動を行う。

過去に愛知県マンション管理士会会長(2010~11)、
専門学校アカデミールネサンス、バンタンキャリアスクール講師等。